食事と pH の関係

むし歯は歯の表面のねばねばした汚れであるプラーク(歯垢)にミユータンス菌やラクトパチラス菌といったむし歯菌が住みつくことから始まる。 むし歯菌は食べ物や飲み物に含まれる炭水化物や糖分から酸をつくる。その酸が歯の表面を溶かし、カ ルシウムイオンやリン酸イオンが出てくる。この働きを脱灰という。脱灰がどんどん進むと歯に穴があくが、正常な口のなかでは、唾液が働き、酸が中和され、唾液中のカルシウムイオンやリン酸イオンが 歯の表面に再び沈着するので、歯は破壊を免れる。この働きが再石灰化であり、食事のたびに脱灰と再 石灰化が繰り返される。 むし歯のメカニズムや対策を考えるときは、この脱灰と再石灰化の理論を踏まえることが前提になる。 理論そのものは70年代に欧米で打ち立てられたが、日本は導入が大きく立ち遅れ、いまだに普及して いない。

脱灰と再石灰化の仕組みがわかれば、道はおのずから開ける。飲食後20分ないし40分ぐらいから、唾液による再石灰化が始まる。一日に何回も、のべつ幕なしに食べたり飲んだりすると、再石灰化が働く暇がない。脱灰がずっと続いてむし歯になる。

食事をとると, 2-3 分でpH は酸性に傾き脱灰がはじまります. この脱灰の1時間が長くつづいたり,敵性度が強いほどムシ歯の危険が増加します。唾液の力によって約 20-40 分間でプラーク中の pHが上昇し,再石灰化 がはじまります。食事をするたびに脱灰がおこります 三度の食事と一回の間食をするきまり良い食生活では, トータルでの脱灰の時間が長く,再石灰化のための時間は長くなるためムシ歯の危険は少なくてすみます。

食の多い食生活ではトータルの脱灰時間が長く,再石灰化の時間が少ないので虫歯の危険が増加します。寝る前の飲食は最も危険です。寝ている時間は唾液の分泌が低下するので,再石灰化の力がうまく働かないためです。

個室の診療室に案内されるが、ここにいるのは歯科衛生士であって歯科医ではない。診療台であるチェアに座らされて問診が始まる。歯の具合を訊くのはもちろんだが、そのほかに食事の回数、喫煙の有無や本数(成人の場合)、のんでいる薬の有無や種類も訊かれる。次に、 長さ数センチ幅一センチぐらいの紙きれを渡され、「なめてください」といわれる。ほんの数秒間なめて、紙きれを衛生士に返す。 次に彼女(衛生士は全員が女性だ)は、ガムと小さな逆円錐形のグラスを渡す。「ガムをかんで、唾 をこの入れ物に吐きだしてください。しばらく続けてください」という。 いまさっきなめた紙きれはリトマス試験紙みたいなもので、唾液の性質によって色が変わる。

調べる のは唾液の緩衝能、つまりむし歯菌がつくった酸を中和する力の強きである。また、唾液を吐きだすの は一定時間内(五分)の分泌量を調べるためだ。中和する力の強い唾液がたくさん出る人はむし歯になりにくいという理屈である。 むし歯菌のメインはミュータンス菌とラクトパチラス菌であるが、その数も調べなければならない。 唾液のなかにどれだけあるかをチェックする。 衛生士による診察時聞は30分ないし1時間。唾液緩衝能と分泌量はその時間内に結果が出るが、む し歯菌の数のほうは細菌を培養しなければならないので四日かかる。 以上の唾液検査をサリパテストという。