入れ歯は一生もの?

歯科医院で高価な入れ歯を勧められるとき、「この入れ歯は一生ものですから」といわれることがある。生涯一つの入れ歯、これは理想であるが常識的に考えれば、そのようなことがあるわけはない。入れ歯を入れたのが何歳で何歳で死ぬならもちろんあり得る話である。しかし多くの場合は歯ぐきが衰えたり粘膜が減ったりして、使う人のからだが変化すると同時に入れ歯自体も磨耗するので、その理想は現実にはありえない。

入れ歯は人工臓器である。同じ入れ歯は二つとない。そして入れ歯の一本一本はすべて口腔内と噛み合わせから計測された歯で、あるべき位置と大きさが決まっている。しかし、人間の体は年齢とともに変化しているので印歳のときと拘歳のときの口の中の形が同じということはない。そして、入れ歯も、同じ形を永遠に留めていることは少なく、使い続けていると、入れ歯は時間の経過とともにどうしても磨耗していく。そこに少しずつズレが出てくるのは自然のことだが、合わなくなったら新しく作り直すのではなく、少しずつ調整をして自分のからだと馴染ませていくのがよい。しかし年月の経過により歯科医による調整も限界があるので、その時は新たに作り換えるようにする。